2027年問題
SAPコンサルタントの将来性を語る上で外せないのが「2027年問題」についてです。これは、SAP ERPのサポートが2027年に終了するというアナウンスをきっかけに、すでに導入している企業がシステムの刷新対応に追われることになった事象を指します。SAP社の新たな製品であるSAP S/4 HANAへの移行が急務であり、その対応が可能なSAPコンサルタントが多くの現場で求められています。他社製品に乗り換える企業が増加するという予想もされていますが、一般的にはSAPのシェア率が大きく変動する可能性は低いといわれています。事実、SAP社は2018年9月時点でSAP S/4HANAのユーザーが大幅に増加していることを公表しています。
しばらくは需要が高い
上述の2027年問題に伴うSAP S/4 HANAへの移行や、求められる専門性やスキルの高さが影響し、SAPコンサルタントは慢性的に不足している状況です。それゆえ、需要は今後も高い水準を維持し続けるでしょう。また、これまで大企業をメインターゲットにしていたSAP社が、近年は中小企業もターゲットに入れて市場開拓に取り組んでいます。これにはクラウドサービスの寄与なども関係しており、実際にSAP社の売上高は増加傾向にあります。直近の2027年問題だけでなく、その後の長期的な市場の動向を踏まえても、SAPコンサルタントの需要は高いことが予想されます。
また、SAPジャパンの見解では、「今後、数年間のうちに数千人規模でSAPコンサルタントの人材不足が顕在化する」とのことです。SAPの導入をサポートするITベンダー企業においても人材不足が深刻化しており、志願者数も減少傾向にある点が現状の課題として挙げられます。逆にいえば、キャリアチェンジを考えている人にとっては参入しやすい状況である今がチャンスです。需要が高いことに加えて、とりわけ高単価な案件が多くなっているのも見逃せないポイントです。
将来性は高いが油断は禁物
以上のことから、SAPコンサルタントの将来性は高いといえます。直近では、SAP ERPのサポート終了に伴う移行案件が多くなるでしょう。ただし、IT業界の市場は目まぐるしく変化することも忘れてはいけません。SAPに限った話ではありませんが、新しい情報や知識を身につける姿勢を常に持ち続けておきましょう。SAP製品は同分野において世界トップクラスのシェア率を誇ります。すぐに大幅なシェア率の変動は起こらないかもしれませんが、案件が減少していく可能性も視野に入れつつ、他社ERPなどの情報もキャッチアップしておくことをおすすめします。




